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「利用者」に代わる図書館ユーザーの呼び名

英語圏では図書館利用者のことをパトロン(patron)と呼ぶ。

Etymonline によると patron の定義はこうなっている。

"a lord-master, a protector," c.1300, from O.Fr. patrun (12c.), 

from M.L. patronus "patron saint, bestower of a benefice, lord,

master, model, pattern," from L. patronus "defender, protector,

advocate," from pater (gen. patris) "father." Meaning "one who

advances the cause" (of an artist, institution, etc.), usually

by the person's wealth and power, is attested from late 14c.;

"commonly a wretch who supports with insolence, and is paid

with flattery" [Johnson].

Commercial sense of "regular customer" first recorded c.1600.

Patron saint (1717) was originally simply patron (late 14c.).

このうちサミュエル・ジョンソンの引用は、とりあえず無視してくれていい。サミュエルジョンソンとは辞書編纂者だが、ここでは「後援者」を辛らつに皮肉って定義している。「金を出すときは傲慢で、お礼にお世辞で返される惨めなやつ」という定義だ。

彼以外の記述を見てほしい。patron は語源から見ても「守護する人」、の意味だ。地位的にも上のニュアンスがある。

Etymonline の最後から2番目の行が示すように、この単語にはその語源のような高貴な意味は薄れた。しかし語源は語源なので、リスペクトするニュアンスは保たれている。

英語圏では図書館利用者のことをこのように敬意を込めて呼ぶのだ。

さて、「DORA-LOG2 どこにでもいるただの図書館司書の戯言」というブログの記事を読んでいただきたい。ここに引用する。

私は、ここで何かを書く時、図書館運営に関与する人が多く読んでいるのだろう、ということを前提にしているので、文章の内容に応じて意図的に「利用者」「貸出し」という言葉を使うことがあります。ただ、個人的には「利用者」という呼び方は大嫌いなので、図書館関係者が内部的に使う場合を除いては、意識して使わないようにしています。それは、図書館で配布する印刷物についても同様で、条例などにより様式が定められている場合を除いて、できるだけ言葉を選ぶようにしています。
しかし、傍から見ていると、場面による使い分けが殆ど出来ていないのです。実に「あちゃー」な事態なのです。例えば実際に何処かの図書館で聞いたものですが、館内放送で「利用者の皆様へ~」という言葉は如何なものでしょう。こういう場合、「ご来館の皆様へ~」とか、もっと適切なフレーズがあると思います。
このような言葉の使い分けが自然に出てこない理由は、恐らくは、普段の仕事の中で場面に応じたやり方を考える訓練が出来ていないところに起因する部分が大きいものと考えます。


この方のブログを読んで、人への配慮に関して学ぶところがいくつもあった。この意見もそのひとつだ。昔新聞かなにかで似た意見を読んだことがあった。JR かバスのアナウンスで「○○止め」という表現は、お客様視点ではない。日本語のお客様を大事にする文化が失われてきているという主張だった。

私自身は「利用者」という言葉には何の抵抗もない。しかしお客様のことを大事に考える、職業意識の高い DORA さんだから、こういった思いやりができるのだろう。私はDORAさんは、左京図書館の糸井さんのような、常に利用者の目を見て笑顔で応対し、利用者のこと を第一に考える図書館職員なのだろうと思う。図書館を退職した、とも書いていたが、図書館にとっては損失だろう。

さて、DORAさんの提案を受けて、「利用者」に変わる新たな言葉を作るとすると、どんなものがふさわしいだろうか。

日々知識の地平線を広げ将来の構想に備える私としては、「探求者」「冒険者」と呼ばれたい。"patron" に意味が近い日本語にすると堅くなる。だか ら「保護者」「守護者」は選ばれる可能性は0だろう。サッカー界みたいに「サポーター」では軽すぎる。しかし「冒険者」では「利用者」の意味から遊離しす ぎている。

いい言葉があれば紹介してほしい。

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坂井宏行シェフの名は永遠に残る! (Sakai Cle)

Sakai Cle という授業管理システムがある。今のところ日本では法政や慶応など限られた大学だけの導入だそうだが、近いうちに全国の大学に広まるものと思う。

Sakai は何の略なんだろうと思って調べていたら、開発者はフジテレビの番組『料理の鉄人』のフレンチのサカイから名づけたんだそうだ。

CHEF とかいうシステムの拡張版だから、CHEF の頂上格である坂井シェフにちなんで名づけたとか。ちなみに "Iron Chef" はアメリカやオーストラリアなどでカルト的人気を得て、アメリカでは "Iron Chef America" という番組までリメイクされた。後者はフジテレビの関係者が製作に関わっている。

坂井シェフは歴史に名を残しそうだね。

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図書館の学徒の間から発生した新しい漢字

京都精華大学には司書養成のコースがあるようだ。情報館の資格試験コーナーという小部屋があって、そこには図書館関係の資料が充実していて便利だ。

そこに図書館に関する新聞の切り抜きを集めてあるファイルがある。ぱらぱらブラウジングするだけでも参考になる。クリップとともに、司書養成の講座の学生 の感想が入っている。感想はすべて手書きだ。そこで面白いことを発見した。「図書館」の代わりに一字で次の画像のように書いてあるのだ。クリックすると元のサイズで表示します

面白いと思いながら次々と読み進めていった。するとその学生だけではなかったのだ。計7人もの学生が、「図書館」を画像のように省略していたのだ。

これは専門語(jargon)とまでは言えず、個人言語(idiosyncracy)以上のグループ言語とでも言えそうな新語である。

私は似たことを思い出した。ある大学の卒業者の物理の先生は、代数の X のことを「エッス」と読んでいた。生徒から笑いが起きていたものだ。

大学の情報科学のある講座の先生も同じ様に発音していた。同じ大学の出身者だった。

もっとも「エッス」という発音の傾向は他の単語にも見られる(インキとインクの例など)ので、所属グループの痕跡とまでは言えないかもしれない。

しかし「図書館」の例は紛れもなく痕跡を残すのだ。そういえば高校の歴史の先生も、「歴」の部首以外を省略していた。

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