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国会図書館のレファレンスのレベルは、ちょっとひどいカモ

国会図書館の参考調査係にはひどいレベルの人もいるようだ。今回紹介する事例ではがっかりさせられた。以下に質問と回答を引用するが、赤字の部分は自分の調査能力の欠如を庇う言い訳にすぎない。私はホルムアルデヒドという文字列を含むすべてのデンマーク法を指摘できたし、それの英訳も提示できた。

質問 デンマークの「ホルマリン法令」を読みたい
英語、日本語、ドイツ語いずれかの言語で書かれたものを希望

回答 ご照会の「デンマークの「ホルマリン法令」」という情報のみでは、法令の正式名称、制定年、分野といった周辺情報が全くないため、正確な調査が困難ですそのため、今回は、ホルマリンはホルムアルデヒドの水溶液なので、ホルムアルデヒド規制に関する法令について調査を行いました。

インターネット上のデンマーク政府の情報を調査したところ、デンマークにおける家具類のホルムアルデヒド規制の根拠となっているのは、下記の環境省令であることが分かりました。

デンマーク語名:"Bekendtgørelse om begrænsning af formaldehyd i spånplader,
krydsfinerplader og lignende plader, som anvendes i møbler, inventar og lignende"

英語名:"Ministry of the Environment Statutory Order no. 289 of 22 June 1983
on limits for formaldehyde in chip board, plywood and similar sheets used in furniture
and furnishings"

この省令のデンマーク語の条文は、デンマークの省令規則が公開されている下記のサイトで閲覧可能です。なお、英語の条文は見当たりませんでした

retsinformation.dk 【https://www.retsinformation.dk/
BEK nr 289 af 22/06/1983 - Gældende

なお、日本語文献である資料1から4を調査しましたが、「ホルマリン法令」に言及している箇所は見当たりませんでした。
また、上記のデンマーク環境省令について、省令名で、NDL-OPACの一般資料の検索、および雑誌記事索引、下記の当館契約データベース5から7を調査しましたが、関連する日本語、英語、ドイツ語の資料は見当たりませんでした。

(以下の引用を省略)

未解決


chamber method,formaldehyde, regulation, denmark でGoogle検索したら、このドキュメントがヒットした。

これを見ると、デンマークにおいてホルムアルデヒドについて触れている法で参照しなければならないのは以下の3法である。法律3が前2者を含んでいるので、法律3の英訳などが見つかればいいのだ。

法律1 Bygningsreglement for erhvervs- og etagebyggeri
(Building regulations for multi-storey buildings)
See clause: 11.3.2 Formaldehyd

法律2 Bygningsreglement for smĺhuse
(Building regulations for small houses)
See clause: 6.4.2 Formaldehyd
Available in Danish at: http://www.ebst.dk/

法律3 Bygningsreglement 2007
(Building Regulations 2007. Draft.)
Building Regulations applying to all buildings that are currently subject to building regulations for multi-storey buildings and small houses. The building rules are hereby combined into one regulation.
See clause: 6.3.2.2 Formaldehyde

しかし Bygningsreglement で調べると、なんと抄訳だが日本語に訳されていた!

NDL OPAC で該当法の一つ(法律2)が日本語に訳された本が見つかった。
請求記号 CD2-411-G1
タイトル デンマーク小住宅建築規則
責任表示 三本木健治訳


まさに灯台下暗し、だ。国会図書館の調査能力はこの程度なのか?たまたま担当者のレベルが低かったのだろうか。

公定訳ではないが、法律3 Bygningsreglement (the Danish Building Act) の全文の英訳を見つけた。そのうちアスベストの項のみを引用する。

6.3.2.2 Formaldehyde 6.3.2.2(1) Chipboard, wood fibreboard, plywood sheets and similar sheets containing glue that emits formaldehyde are only to be used if the emission of formaldehyde does not give rise to an unhealthy indoor climate. (6.3.2.2(1)) This provision only covers sheets containing formaldehyde-liberating glue and thus not sheets that are glued using, for example, phenol, resorcinol or isocyanate glues without the addition of urea formaldehyde. This functional requirement is satisfied if the CE marking shows that the building material is covered by class E1 in accordance with DS/EN 13986 Wood-based panels for use in construction – Characteristics, evaluation of conformity and marking.


なお、先ほど引用したドキュメント(Google検索でヒットした、チェコドメインの rtf ファイル)にも別の人による英訳が載っている。チェックしてみてもいいだろう。

法律3は1と2を含むので、これで十分だろう。なお、製品が CE Mark を取得する条件は先ほどのGoogle検索でヒットしたドキュメントのリンクを参照のこと。

E1の条件:Equilibrium concentration of formaldehyde in the air of a test chamber: ≤ 0.1 ml/mł (≤ 0.12 mg/mł).

参考に、法律1から3のデンマーク語の原文を紹介する。

法律1 のデンマーク語原文はこちらだ。0.15mg/m3 を超えないのが規則だ。

法律2 のホルムアルデヒドに触れた箇所のデンマーク語原文がこれだ。国会図書館の調査担当者は、原文の中のDS/EN 13986を手がかりに調べようともしなかったのだろうか?あまりにも手抜きだと思われる。

法律3 の2008年版の原文がこれだ。

デンマーク語では、英語の綴りの末尾の e が落ちて formaldehyd となる。これでデンマーク法のホルムアルデヒドに触れた全箇所を http://www.ebst.dk/ で検索できる。 

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コメント

国会図書館はひどいです。

投稿: | 2013年4月23日 (火) 10時42分

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