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『宗教音楽におけるラテン語の読み方』はラテン語合唱の人は必読書ね

ラテン語の発音を解説した、古い本を借りた。宗教音楽におけるラテン語の読み方 (1959年) [古書]だ。お奨めだ。

合唱のラテン語といえば三ヶ尻さんの本がすごく使いやすくて(単語の逐語訳がついていて学びやすい)、解説も明快でお世話になった。

今回は「どうせ古い本(昭和30年代)だから難しい表現とか使ってるのだろうな」と思っていたのだが、嬉しい驚きがあった。

アカデミズムの人でなく実際に合唱を教える立場だからなのか、表現がすごく易しい。しかしちゃんと言語学で語っているのである。

巷のラテン語解説書は、入門書であっても難解なものが多い。講談社新書のラテン語入門も、たいていの人は途中で投げ出すだろう。

しかし、この本は発音の解説だけなのだが、とってもわかりやすい。お勧めだ。

新しいことも学んだ。ラテン語でなぜ k を発音するために Q K C の三つの文字を使い分けるのか、説明できるだろうか。

私は知らなかった。うろこが目から落ちた。当初は使い分けていた。直後に来る発音がi や e の狭い発音には C, u や o には Q、その中間の a には K というふうに。しかしどれも似たようなので、結局は C に収斂したというわけだ。

もうひとつ目からうろこが落ちたことがあった。小泉さんはこう書いている。英語の歌唱では、"seat" の "ea" の発音を緩和する。あっかんべ、の「イーだ」と発音するとき、口が横に引っ張られる。これは汚く聞こえる。だから "sit" の "i"を伸ばした音で発音するのだ。(本当は IPA で説明したいのだが、このブログでは多分無理だろう)

確かにそうだ。ラップとか以外、うまい人はそう発音しているようだ。

歌唱に限らず、きれいな発話をする人は、こういった緩和をしていると思う。アーティキュレーションのはっきりした人ですぐに思い浮かぶのは、サッカー解説の松木安太郎さん。サービス産業の人のなかにもこういった人がいる。でも決して心地のいい発音とは思えない。特に「イ」が目立って横に引っ張りすぎだ。

ほかにも濁音を強く発音する人もきれいに聞こえない。小泉さんはすばらしい指摘をしている。"Miserere nobis" の "miserere" の発音だ。問題は、この赤の s が濁るか濁らないか、というものだ。

小泉さんは言う。この s を意識的に濁らせて発音しては汚く聞こえる。この s は母音に挟まれて同化 assimilation で結果的に濁るのであるから、濁らないで発音するようにして結果的に濁ってしまった、という感覚で発音するのがいい、というすばらしい解説をした。これは すばらしい。私は実際に真似てみた。確かにきれいに聞こえるぞ。

この知識はラテン語だけでなく、日本語の発声にも役立ちそうだ。

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