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ニューヨーク公共図書館と京都市立図書館の意気込みの違いを解説するゾ、の巻

ニューヨーク公共図書館の分館82館における1992年のレファレンス回答件数は480万件であった。特殊館の数館を除いてもこれだけ膨大の数をこなして いるのは世界でもトップだろう。ここに最新のデータを引用する。NYPL の分館 branch libraries が87館に増えていた。

REFERENCE INQUIRIES TOTALED 8.1 MILLION AND
DIRECTIONAL INQUIRIES WERE APPROXIMATELY 5.9 MILLION 


Directional inquiries とは「この本はどこにある?」といった質問に対する書架の案内のことだ。クイックレファレンスはおそらく8.1百万のほうに含まれるのだろう。メールを通 じてのサービスがこれには相当多く含まれていよう。それを差し引いても膨大な数をこなしている。まだ利用したことがないが、QuestionPoint のレファレンスの質から察して相当高いのではないかと想像する。あまり説得力ないけどね。

この数字を去年末当時課長補佐だった氷見博氏に出したら「レファレンスのカウント方法が違う」とかなんと か言い訳が先に立つ。佐賀県立にしろ秋田かどこか東北の県立図書館にしろ、NYPLの先進的な試みを真似てか、ビジネス支援のサービスを始めたりしてい る。一方で京都市立図書館のやる気のなさはなんなんだろう。

京都市立図書館のやる気のなさが窺えるもうひとつの例を挙げる。これも去年末なのだが、「京都市立図書館のイベントカレンダーを見たら、ほとんどすべてが 読み聞かせ会などの子供向けのイベントで、例えば検索の仕方などのイベントが一切ない」と氷見氏に述べた。彼はそれに対して、京都国立博物館のハプスブル ク展に京都市立図書館のパンフレットを置いて、なんとかかんとか、と言っていた。また、小学校を回って講習したりもしているそうだ。NYPDの取り組みは 菅谷明子「未来をつくる図書館-ニューヨークからの報告-」の半分くらい読んだが、それに比べて貧弱なことこの上ない。そもそも京都市立図書館の運営は基 本的に「要望を受けたら重い腰を上げる」というパッシブなもので、NYPDのように「図書館の未来はわれらが切り開く」というような鼻息の荒さは微塵も感 じられない。

京都市立は公立で、NYPLは私立だというのは言い訳に過ぎないと思う。ある程度その要素は差し引いて考える必要がある。NYPLは寄付金で多くを賄っているという要素が大きい。

しかしもっと考えるべきなのは、NYPLの社会思想だ。アクティブに、民の民力を高めようとする。アメリカ功利主義の伝統を体現し、基本発想はやはり現金なのだが、それが社会福祉を高め、社会のバイタリティを高める使命を帯びているという強い自負がある。

民の知的レベルを挙げ起業を促進し、学術を促進するという方向性は、医療費削減のためにジムを普及させる取り組みと考え方が同じだ。飽和状態の日本の国土にさらに余計な橋やダムを作る金があったら、図書館のソフト面をさらに充実させるべきだ。

多くの公共図書館がレファレンスに応じられないケースとして挙げているものをご存知だろうか。法律相談や医療相談である。高度に専門的な内容は回答に責任がもてないという理由なのだろうと思われる。

一方NYPLはどうか。一切そういった制限はないはずだ。QuestionPoint に州法に関連した質問をしたら、手取り足取り教えてくれた。あるページに行き、ここをクリックして、という風に事細かに教えてくれる。さすがアメリカと日本の違いがここに表れている。

NYPLの基本的な発想は現金だと書いた。民を教化・強化すれば長い目で見れば己にリターンが返ってくるという発想だ。実にアメリカ的な発想だ。これが彼らをナンバーワンに導いた精神の背骨だ。

京都市立図書館の運営は、そのようなバイタリティが感じられない。未来図も描けない。メールでレファレンスを受付、回答することすら理由をつけて拒む。その理由とは、何だと思いますか?

そもそも京都市立図書館はメールでのあらゆる問い合わせを拒んでいる。氷見博氏いわく、「問い合わせが増えるし、レファレンスが増える」。本音が思わずでてしまったようだ。レファレンスの件数は増えてほしくない。要するに怠けたいのである。

一方で氷見氏は、「暇な館などありません」とかいいながら、氷見氏の電話越しでは財団法人京都アスニーの職員が、われわれ二人の会話を中断するくらい大声で笑っていた。ちょうど田畑倫子係員が電話に応対した時間帯のことだ。

そのようなのんびりした職場の雰囲気が電話越しから窺えた。田畑氏自身が、大事な会話を中断するくらい大声で笑った中にいたとは断言はしない。だが閉館から1時間前くらいの人員配置できる人数から判断して、彼女が加わっていた可能性は大きいといえる。

極力楽をしたいという思いが一番の運営に対しては、図書館の未来は任せられないという声が市民から上がってきても当然の報いと言えよう。ショック療法とし て、今の財団法人への委託のあり方から、指定管理者制度への完全移行という未来図を提示したい。人件費削減にもなるし、なによりも道徳的に疑問符がつく京 都市教育委員会の手から運営が離れるのがうれしい。

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