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2010年1月

JLAにレファレンス体験記を送ってみた、の巻

レファレンス体験記をJLAに送ってみました。

日本図書館協会関係者の皆様、

先日はNDC分類に関する質問に関して、分類委員会事務局の岡田充さまに親切にも回答をいただき、感謝しています。それ以前にもレファレンスなどに関する質問にも見解をいただき、参考にさせてもらっています。今後ともご愛顧のほど、よろしくお願いします。

私は日ごろ図書館行政とそのサービスに人並みでない関心を抱き、図書館に関する本に親しんでいます。先日にも、京都中央図書館には、次の提案をしました。

レファレンスの質問を受けたら、特定の職員に任せるというやり方では、満足度の高い回答ができにくい。できれば最初から専門分野に強い司書職員を雇って(つまり、たとえば生物学の学位に加えて司書の資格の保有者を雇うこと)、ある分野の質問が来たらその分野に強い司書に任せるという仕組みにしてほしい。でもそれではお金がかかるだろうから、次の2つことを提案したい。

(1)京都市図書館は20館でひとつのコンソーシアムなのだから、レファレンスにも職員の数の効果が期待できる。「蟹の3本目の脚は1本目の脚、つまりハサミの肉よりおいしい」ということが触れられている文学やエッセーを教えてほしいという依頼。これは「コンペティッション形式」で調査する。スタッフのなかから、この質問に関する手がかりを募集する。

(2)あらかじめ、自分はこの分野に強いという自己申告をさせる。レファレンス依頼が来たらそのリストに応じて、得意分野と仕事の忙しさの度合いに応じて臨機応変に振り分ける。具体例、レファレンス内容:哺乳動物の腸骨の穴は何のためのもの?神経が通っているの?図解しているか、文で解説している本があったら紹介してほしい、という依頼。この依頼が来たら、リストに従って、「動物」「生物」のチェック項目に印がついている職員で、繁忙レベルが低ならばその職員に振り分ける。

以上の方法では、(ア)職員のやる気を引き出し、(イ)より的確な回答が得られるので利用者の満足度も高いという利点があると信じます。現状ではどうでしょうか?京都市立図書館の実際の例です。

(A)上記の1番目のレファレンス依頼をすると、中央図書館の回答では、私がネットでした質問をそのままコピーしていました。私がその質問をするにいたる文献をあらかじめ伝えてあったのですが(『料理の鉄人Ⅴ』)、そのコピーが添えられた回答でした。何も新しい文献の発見、提示がなされませんでした。

(B)猫の伸びの種類にかんして(ブリッジ状の伸び、縦長の伸び、その他)、触れているエッセーや文学はないか。あったらタイトルを紹介してほしい。という質問を左京図書館経由で中央図書館にしました。回答は、文学アンソロジー総覧で「猫」に関する本をリストアップしただけで、肝心の「伸び」「類型」に関して無視されていました。それならインターネットで簡単に見つかるので、レファレンスに頼んだ意味がありません。

両方のレファレンス依頼に関していえるのですが、依頼者には調査結果の紙は渡さず、コピーもさせてもらえませんでした。

それが都市の地域館のレファレンスだったなら諦めがつきます。しかしこの2例から窺えますように、京都市という大都市の、中央館の司書のレベルが相当低いのは問題だと思います。中央図書館の氷見課長補佐いわく、司書の教育のため、特定の司書に依頼内容を当てているとのことでした。

司書の能力が低いのなら問題はまだ軽いです。しかし司書としての職業意識が低いのは看過できないレベルです。中央図書館の司書スタッフのおそらく一番年長の司書に次の質問をしようとしました。以下は素人の私が思ったことで、専門家は違うというかもしれない。蟹の3番目の脚は、その脚で歩くので、おそらく遅筋の比率が大きいはずだ。一方ハサミは速筋の比率が大きいはずだ。速筋と遅筋の成分の差はミオグロビンだろう。ミオグロビンはたんぱく質なので、味の感覚受容器に受容されるには分子量の小さいアミノ酸に分解・遊離されないといけないだろう。その物質の味の違いを解説しているものを読めば、「蟹の1番目の脚がおいしいか、3番目の脚がおいしいか」という答えがわかるだろう。そもそも「遅筋と速筋の味の違い」に言及している文献はインターネットでも見つからなかったし、本でも見たことがない。遅筋と速筋の味の違いに言及している文献のタイトルが知りたい。

以上の質問をしようとしました。しかしそのベテランの司書は、私が「速筋」「遅筋」という単語を出したら顔色が不親切になり、拒否の姿勢になりました。自分で調べたらどうですか、博物館に聞いてくださいという回答で、質問をすべて聞こうとせず、そこで不受理になりました。「おもいっきりテレビ」という番組の解説よりもっと簡単なレベルで、「自然科学の質問」ということで拒否反応を示されました。国立国会図書館のレファレンス協同データベースで見てもわかりますが、埼玉県立図書館などは、専門分野に分けているためか、回答のレベルが高いです。京都市立図書館との差に失望してしまいます。

府立図書館のレファレンスにも失望させました。基本的に二人体制らしいのですが、まず一人目(今泉)について、館内レファレンスカウンターにて以下の質問をしました。

質問(1)猫の尻尾の短いボブテール種は木登りが苦手なのだろうか。やはり野生での生存率が低いのだろうか。尻尾でバランスを取ると聞いたので質問した。

質問(2)マンドリルの顔のマスクはやはりメスをおびき寄せるためにあの色の配列になっているのだろうか。そのことを解説した本のタイトルが知りたい。

この二つの質問が自然科学系だと認識した瞬間、司書が不親切になり「百科事典でお調べになったらどうですか」の一点張りでした。やはり最後まで質問を聞こうという態度ではありませんでした。ちなみに上の質問はこの後私みずから岡崎動物園へ行って職員に尋ねました。

もう一人の司書の資質にも失望しました。館内カウンターで次の質問をしました。

質問: 日本には司書のための英会話の本が2冊、ビデオが2本あることは知っていて、読んだ。私は他の言語もやっているので、他の主要言語(スペイン語、ドイツ語など)についてもそういう本があるのか知りたい。アメリカ議会図書館の検索はすでに行ったが、結果がでなかった。

10分ほど待って、わからないという結果が伝えられました。「では、国会図書館のレファレンスをお願いできますか?」とたずねますと、直接出向いてたずねてください、との回答でした。私が、国会図書館は個人のレファレンスには応じない、と伝えると、さらに待たされて、「では、e-メールでもう一度質問してください」と言われました。

国会図書館が個人の質問を受け付けないということすら知らないことでも司書の資質を欠いているのに、「日数がかかりますが、こちらで調べておきたいと思います。連絡方法をお教えくださいますか」という反応ができない司書の資質というのには失望させられました。ちなみに同志社大学今出川の図書館のレファレンス担当司書は優秀でした。職員用画面と質問者用画面が備わっているというのがまず1点。司書が英語ができるというのが1点。回答が的確でフレンドリーだというのが1点です。さらに彼女は QuestionPoint のことも知っていました。私が、日本の公共図書館で QuestionPoint に加盟しているところがないといい、同志社はどうですかと聞いたときです。彼女はもちろん「日数うんぬん」の対応をしましたし、京都精華大学情報館の中嶋さんもそういう対応をなされました。これらの大学図書館に比べて、京都市立中央図書館と京都府立図書館のレファレンス司書は能力のみならず職員としての自覚・意識が足りないのではないでしょうか。

私は「図書館の自由に関する宣言」「図書館員の倫理綱領」「公立図書館の設置及び運営上の望ましい基準」(<span style="color:red">注:これは文部科学省の告示で、JLA作成ではありません)</span>「公立図書館の任務と目標」などの本に目を通しました。レファレンスサービスを通じて、どこの図書館がすばらしいのか、レベルがひどいのか、京都市で垣間見ました。JLAが図書館の理想として盛り込んだ内容が尊重されていないのではないかと思いました。

これ以外にもJLAの各種宣言が尊重されていないと思う事態が左京図書館でありました。図書館の自由に関する宣言の前文の5番目の項目に関することです。英語でサービスを要求したら、今後は日本語で言ってください、営業妨害だと言われました。このことの詳細に関して、追ってメールを差し上げたいと思います。お読みいただき、ありがとうございました。

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